前立腺肥大症とは

男性の膀胱の下部には、栗の実の形をした前立腺と呼ばれる臓器があり、前立腺液を分泌します。前立腺肥大症は、この臓器が大きくなってしまう病気です。
初期の段階では目立った症状が出ないこともありますが、前立腺が肥大してしまうことによって徐々に症状が強まります。
具体的には、尿道が圧迫されることで尿が出にくくなったり、頻尿になったり、尿意があるのに排尿できなくなったりします。
加齢とともに前立腺肥大症の患者さんは増加し、70歳以上になると8割以上の男性が前立腺肥大症になると言われています。

当院では、尿流量測定器やエコー、低線量CTを完備しており、迅速に診断して治療につなげていきます。
治療に関していうと、まずは内服治療で対応いたしますが、手術が必要になることもあります。 その場合は、当院内で低侵襲日帰り外科手術、WAVE治療を行うことも可能です。

主な症状

前立腺肥大症では、排尿の勢いや頻度、排尿の残り方に関わる症状が中心です。次のような症状がある場合、前立腺肥大症が疑われます。

  • 尿の勢いが弱くなる
  • 尿が途切れ途切れになる
  • 排尿に時間がかかる
  • 尿が出にくい、なかなか始まらない
  • 残尿感がある
  • 夜間にトイレへ何度も起きる(夜間頻尿)
  • 急にトイレに行きたくなる(尿意切迫)
  • トイレまで間に合わず漏れてしまうことがある

これらの症状は生活の質を大きく損なうだけでなく、放置すると徐々に悪化することが多いため、症状が続く場合は早めの受診をおすすめします。

放置するとどうなる?

前立腺肥大症は良性の疾患ですが、適切な治療を行わずに放置すると以下のような問題が生じることがあります。

  • 膀胱機能の低下
    長期間尿が出にくい状態が続くと、膀胱の筋肉が疲弊し、尿を完全に出し切れなくなり、残尿が増えてきます。
  • 急性尿閉
    突然まったく尿が出なくなる状態で、強い痛みを伴います。カテーテルによる緊急処置が必要になる場合があります。
  • 尿路感染症
    残尿が増えると細菌が繁殖しやすく、膀胱炎や腎盂腎炎を引き起こすことがあります。
  • 血尿
    前立腺や膀胱、尿道の圧迫により血尿が生じることがあります。
  • 腎機能低下
    高度の排尿障害が続くと腎臓に負担がかかり、腎機能が低下することがあります。

こういった合併症を防ぐためにも、前立腺肥大症が疑われる場合には適切な評価と治療が重要です。

診断方法

前立腺肥大症の診断では、症状の程度や前立腺の大きさ、尿の流れ、残尿量を確認することが重要です。当院では以下の検査を組み合わせて総合的に評価します。

  • 問診・症状チェック
    頻尿の回数、尿の勢い、残尿感などを丁寧に確認します。国際前立腺症状スコア(IPSS)を用いて症状の強さを数値化することもあります。
  • 尿検査
    感染症や血尿の有無、尿の濁りなどを調べ、膀胱炎や腎疾患との鑑別を行います。
  • 血液検査(PSA測定を含む)
    PSA検査は前立腺がんのリスクを評価するために重要です。前立腺肥大症と前立腺がんは症状が似ているため、必要に応じて測定します。
  • エコー検査
    前立腺の大きさ、膀胱の状態、排尿後の残尿量を確認します。痛みのない検査で、前立腺肥大症の診断に欠かせません。
  • 尿流量測定(ウロフロメトリー)
    尿の勢い・流れ方・排尿時間などを数値化します。前立腺による尿道圧迫の程度を評価するのに用いられます。

必要に応じて、より精密な検査は専門医療機関と連携して行います。

治療方法

前立腺肥大症の治療は、症状の程度、前立腺の大きさ、生活への影響度を踏まえて決定します。

薬物療法(多くの方が対象)

薬物療法は前立腺肥大症の治療の中心で、以下の薬剤があります。

  • α遮断薬
    尿道周囲の筋肉をゆるめ、尿の勢いを改善する即効性のある薬です。「尿が出にくい」「勢いが弱い」と感じる方に効果的です。
  • PDE-5阻害薬
    前立腺や膀胱周囲の血流を改善し、排尿症状を和らげる薬です。
  • 5α還元酵素阻害薬
    前立腺を徐々に小さくする薬で、効果が出るまで数ヶ月かかります。前立腺が大きい方に特に適しています。
  • 過活動膀胱治療薬
    急にトイレに行きたくなる、漏れてしまうといった膀胱の過敏な症状がある場合に使用します。
  • 漢方薬
    体質や症状に応じて併用することもあります。

日帰り手術・WAVE治療

薬物療法で十分な効果が得られない場合や、内服薬を続けることが難しい場合には、日帰りで行える低侵襲手術「WAVE治療」をご提案できます。WAVE治療は、前立腺肥大によって狭くなった尿道周囲の組織にエネルギーを加え、尿の通り道を改善する治療法です。

  • 身体への負担が比較的少ない
  • 入院を必要とせず日帰りで治療が可能
  • 高齢の方や持病をお持ちの方でも検討しやすい

患者さんの前立腺の大きさや症状、全身状態を踏まえ、適応を慎重に判断したうえでご案内します。

生活で気をつけるポイント

前立腺肥大症の症状は、日常生活の工夫で改善することがあります。

  • カフェイン・アルコールを控える
  • 体を冷やさない
  • 寝る前の水分の摂り方を調整する
  • 便秘を予防する
  • 適度な運動を取り入れる

症状に合わせた生活指導も丁寧に行います。

こんな症状は早めにご相談ください

  • 急に尿が出なくなった
  • 発熱を伴う排尿痛
  • 血尿が出た
  • 尿が出にくく生活に支障がある
  • PSAの異常を指摘された

これらの症状には早期対応が必要です。